百日咳とは

百日咳とは、特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)を特徴とする急性気道感染症です。

百日咳は母親からの免疫(経胎盤移行抗体)が期待できないため、乳児期早期から罹患し、1歳以下の乳児、ことに生後6 カ月以下では死に至る危険性も高い病気です。

百日咳ワクチンを含むDPT 三種混合ワクチン接種(ジフテリア・百日咳・破傷風)は我が国を含めて世界各国で実施されており、その普及とともに各国で百日咳の発生数は激減している。
しかし、ワクチン接種を行っていない人での発病はわが国でも見られており、世界各国でいまだ多くの流行が発生している。

百日咳は1990 年にロシアから始まったジフテリアの流行同様、ワクチン接種が滞れば再び流行の可能性のある感染症である。
百日咳について詳しい書籍はコチラ

百日咳の症状、カタル期

百日咳症状、カタル期。

百日咳という感染症は世界中で見られます百日咳
一年中百日咳の発生は見られますが、春から夏にかけての発生が比較的多いようです。

また、百日咳の流行は2〜5年周期とされているようです。


百日咳症状として、第一段階の百日咳症状をカタル期といい、
鼻水やくしゃみ、咳といった風邪の症状が出ます。

咳は次第にひどくなり、1〜2週間後に第二の痙咳期(咳発作期)という症状に入ります。

百日咳のカタル期に他の原因による症状と上気道炎と区別して、百日咳症状と診断する事は難しいようです。


しかし、百日咳以外の感染症についても言えることですが、「家族が百日咳にかかっている」,「友人が百日咳にかかっている」,「学校で百日咳がはやっている」,「職場で百日咳がはやっている」といった患者の周囲の情報があると診断や治療に大いに参考になるようです。

百日咳について詳しい書籍はコチラ

百日咳の病原体とは

百日咳の病原体

 百日咳の病原体はBordetella pertussis (百日咳菌、グラム陰性、小桿菌)といわれる病原体です。

百日咳菌は人のみが感受性宿主であり、菌の感染力は強く、患者および不顕性感染者の鼻咽頭や気道分泌物の飛沫感染により感染します。
百日咳の病原体は直接接触や分泌物に汚染された器物を介した感染もあるようです。
百日咳の病原体の感染は呼吸器系に限局し他の組織への感染はないとされています。

百日咳の病原体の潜伏期は5〜20日ですが、多くは10日以内に発病します。

また、近縁のBordetella parapertussis (パラ百日咳菌)によっても臨床上区別のつかない百日咳のような感染症を引き起こす場合があるようです。

 百日咳菌百日咳毒素(Pertussis toxin、PT)、繊維状赤血球凝集素(Filamentous hemagglutinin、FHA)、パータクチン(Pertactin)、アデニル酸シクラーゼ毒素(Adenylate Cyclase Toxin)、気管上皮細胞毒素(Tracheal Cytotoxin)、凝集素(Agglutinogen)、皮膚壊死毒素(Dermonecrotic Toxin)などの多くの生理活性物質を産生し、これらが百日咳に特有の症状の発症に関与しているとされているようです。

百日咳について詳しい書籍はコチラ

百日咳の治療

百日咳の治療の詳細
百日咳の乳児および咳嗽のために内服薬が飲めなくなり治療に入院を要する患児においては、静注用抗生物質を投与するとともに、抗百日咳毒素抗体(抗PT抗体)を有する静注用ガンマグロブリン 200〜400mg/kg/日(最大 2.5g/日)の3日間の併用を行い、百日咳の良好な治療成績を得ている報告も多い。

また、百日咳の治療にステロイド、アレビアチン、交感神経刺激薬が治療薬として使用されるが、評価は一定していない。

さらに、鎮咳薬では、リン酸コデインなどで咳嗽反射を抑制するのは危険であり、一般的な鎮咳、去痰痙薬を使用する。
百日咳について詳しい書籍はコチラ

百日咳の臨床症状

百日咳の臨床経過は3期に分けられる。

1、カタル期(約2週間持続):通常7〜10日間程度の潜伏期を経て、普通のかぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増えて程度も激しくなる。

2、痙咳期(約2〜3週間持続): 発熱はないか、あっても微熱程度である。息を詰めて咳をするため、顔面の静脈圧が上昇し、顔面浮腫、点状出血、眼球結膜出血、鼻出血などが見られることもある。非発作時は無症状であるが、何らかの刺激が加わると発作が誘発される。また、夜間の発作が多い。年令が小さいほど症状は非定型的であり、乳児期早期では特徴的な咳がなく、単に息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ、けいれん、呼吸停止と進展することがある。合併症としては肺炎の他、発症機序は不明であるが脳症も重要な問題で、特に乳児で注意が必要である。1992〜1994年の米国での調査によると、致命率は全年齢児で0.2%、6カ月未満児で0.6%とされている。


3、回復期(2, 3 週〜):激しい発作は次第に減衰し、2〜3週間で認められなくなるが、その後も時折忘れた頃に発作性の咳が出る。全経過約2〜3カ月で回復する。
 また、アデノウイルス、マイコプラズマ、クラミジアなどの呼吸器感染症でも同様の発作性の咳嗽を示すことがあり、鑑別診断上注意が必要である。
 臨床検査では、小児の場合には白血球数が数万/mm 3に増加することもあり、分画ではリンパ球の異常増多がみられる。しかし、赤沈やCRP は正常範囲か軽度上昇程度である。

百日咳について詳しい書籍はコチラ

百日咳の病原体

百日咳の病原体

百日咳病原体(発症機序)は未だ解明されていませんが、
百日咳菌の有する種々の生物活性物質の一部が、病原因子として発症に関与すると考えられています。

病原因子と考えられるものとしては、
線維状血球凝集素(FHA )、
パータクチン(69KD 外膜蛋白)、
凝集素(アグルチノーゲン2、3)などの定着因子と、百日咳毒素(PT)、気管上皮細胞毒素、アデニル酸シクラーゼ、易熱性皮膚壊死毒素などの毒素等があげられています。


百日咳について詳しい書籍はコチラ

百日咳の疫学

百日咳は世界的に見られる疾患で、いずれの年齢でもかかるが、小児が中心となる。また、重症化しやすく、百日咳の死亡者の大半を占めるのは1 歳未満の乳児、ことに生後6カ月未満の乳児である。WHO の発表によれば、世界の百日咳患者数は年間2,000 〜4,000 万人で、その約90%は発展途上国の小児であり、死亡数は約20〜40 万人とされている。

 わが国における百日咳患者の届け出数(伝染病予防法では届出伝染病として全例報告されることになっていた)は、ワクチン開始前には10万例以上あり、その約10%が死亡していた。

百日咳ワクチンは1950年から予防接種法によるワクチンに定められ、単味ワクチンによって接種が開始された。

1958年の法改正からはジフテリアと混合のDP 二種混合ワクチンが使われ、さらに1968(昭和43)年からは、破傷風を含めたDPT 三種混合ワクチンが定期接種として広く使われるようになった。

これらのワクチンの普及とともに百日咳の患者の報告数は減少し、1971年には206例、1972 年には269 例と、この時期に、日本は世界で最も罹患率の低い国のひとつとなった。

しかし、1970年代から、DPT ワクチン、ことに百日咳ワクチン(全菌体ワクチン)によるとされる脳症などの重篤な副反応発生が問題となり、1975年2月に百日咳ワクチンを含む予防接種は一時中止となった。

 1994年10月からはDPT ワクチンの接種開始年齢がそれまでの2歳から3カ月に引き下げられた。

 1997年には報告数が2,708(同1.12)、1998年には2,313(同0.97)に減少した。1999年4月施行の感染症法の元では「百日咳」として定点把握疾患に分類され、全国約3,000の小児科定点から報告されており、2000年3,787例(同1.29)、2001 年1,800例(同0.60)、2002年1,488 例(同0.49)である。

また、この報告数を元に算出した年間罹患数の推計値は2000年2.8万人、2001年1.5万人である(厚生科学研究費補助金(新興・再興感染症研究事業)「効果的な感染症発生動向調査のための国及び県の発生動向調査の方法論の開発に関する研究」主任研究者:岡部信彦、分担研究者:永井正規)。


百日咳について詳しい書籍はコチラ

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。